IBMとNASAが衛星画像に学習させた大規模AIモデルを発表。目的は気候研究の支援。

IBMとNASAは、Hugging Faceプラットフォーム上で大規模な地理空間基盤モデルをオープンソースとして発表した。これはWatsonx基盤モデル・プラットフォームの立ち上げに続くもので、IBMが5月に発表した最初のWatsonx基盤モデルのひとつである。

宇宙法の契約を通じて、IBMは2022年初頭から地理空間データの基盤モデルの開発に取り組んできた。ファウンデーション・モデルとは、様々な二次的タスクのために改良可能な汎用性の高いAIモデルである。

IBMによると、衛星データをより利用しやすくすることで、気候科学や地球科学におけるイノベーションを加速させることが今回の立ち上げの目的だという。NASAは2024年までに25万テラバイトと推定される膨大な衛星データを収集しているが、これらの大規模なデータセットを分析するにはまだ障壁がある。

ハギング・フェイス・モデルをオープンソースとして利用可能にすることで、IBMとNASAはこの状況を変えたいと考えている。このイニシアチブは、より協力的な科学コミュニティを構築することを目的としたNASAのオープン・サイエンス・イニシアチブとも一致している。

AIモデルを農業生産予測に活用

このモデルは、NASAのランドサット・センチネル2(HLS)衛星のデータを使って1年間訓練された。その後、洪水や森林火災のマッピングデータで改良された。テストでは、ラベル付けされたデータの半分しか使用していないにもかかわらず、他の方法と比べてすでに15%精度が向上している。

IBMによれば、このモデルはさらに調整すれば、森林破壊の監視、農業生産の予測、温室効果ガスの監視など、他のタスクにも使用できるようになるという。

このモデルの商用バージョンは、IBMのEnvironmental Intelligence Suiteの一部として今年後半に発売される予定だ。

IBMの地理空間AIモデルは、Hugging Faceプラットフォームで利用できる。