アップルはAI競争からほとんど遠ざかっている。あるメディアの報道によると、この状況はすぐには変わらないようだ。

The Informationの報道によると、アップルは少なくとも3人のAIエンジニア（スリニヴァサン・ヴェンカタチャリー、スティーブン・ベイカー、アナンド・シュクル）を失った。彼らはグーグルCEOのスンダル・ピチャイによって個人的にヘッドハンティングされ、アップルCEOのティム・クックが従業員を引き留めようと努力したにもかかわらず、グーグルを最高のAI企業として彼らに紹介することに成功した。

人間の編集者がSiriの回答をサポート

アップルの元AI従業員によると、AIに関して、テック大手は組織化が不十分で、野心に欠けていたという。その結果、この5年間はほとんど進歩がなかった。

特に2018年のSiriチームは「混沌状態」にあり、アシスタント開発は技術開発の方向性をめぐる内部論争に苦しんでいた。とりわけ、アップルはSiriの使用状況に関する最新のデータを収集することができなかった。

ティム・クックをはじめとする2019年前後の意思決定者たちは、SiriのAIが生成した回答に頼るのではなく、Siriの回答を人間が評価・編集し、おかしな回答や不正解をできるだけ避けるよう主張したはずだ。デザインチームは、AI世代では（少なくとも当時は）不可能だった、完璧に近い回答にこだわった。

加えて、アップルのプライバシーに対する強い姿勢は、Siriの開発ペースを遅らせる一因となった。というのも、アップルは可能な限り多くのプロセスをクラウド上ではなく、デバイス上で実行することを望んでいたからだ。

アップルのデザインチームはまた、音声アシスタントの「すべてを知っている」という個性を維持するために、Siriの間違った応答に対するフィードバック機能をブロックしたと伝えられている。これにより、機械学習チームは最適化のための貴重な情報を奪われた。

アップルとAI – それは複雑だ

アップルのAI責任者であり、取締役を務めるジョン・ジャンナンドレアは2020年、人工知能が将来iOSやMacの体験のあらゆる側面をどのように変えるかについて語った。これまでのところ、この話はほとんどユーザーに届いていない。

この6年間、アップルは前述のジョン・ジャンナンドレアとGANの発明者であるイアン・グッドフェローをグーグルから雇用するなど、AIと関連人材に多額の投資を行ってきたが、彼はその後ディープマインドに、つまりグーグルに戻っている。2021年5月、アップルはベテランAI研究者のサミー・ベンジオをグーグルから雇い入れ、ジャンナンドリアの下で新たな研究部門を率いることになった。

2016年以降、アップルは少なくとも25社のAI企業を買収しており、グーグル（14社）、マイクロソフト（12社）、フェイスブック（9社）を大きく上回っている。アップルはマシンビジョンやトレーニングデータの最適化などの新興企業を買収してきた。2022年夏、アップルはテキスト記述から3Dシーンを生成できるAIシステム「GAUDI」を発表した。